坐禅身法

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身体哲学者勇﨑賀雄から、<坐禅身法>のすすめlin01

 

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近年日本人の身体は非常に虚弱になっていて、あらゆることにガンバリがきかなくなっています。

東日本大震災の大打撃を受けた今、すべての日本人は力を合わせてこの危機を乗り越えていかなければならないでしょう。そのためには、被災地の人たちはもちろんのこと、日本中の人々が、日本人本来の底力を出さなければなりません。しかし、そのすべての出発点となる身体力、つまり、氣力、体力が現代の日本人ははなはだ心配な状態なのです。

身体哲学者という立場で大震災前、日本の現状を眺めて一番心配だったのは、政治の混乱や経済の低迷、雇用の減少よりも、自殺願望がじわじわと瀰漫(びまん)してきていることや引きこもり・クレーマーなどのうつ病、心身症的な人々の急増でした。私から見ればこの人たちは、身体が非常に虚弱で、ちょっとしたことにもガマン・辛抱がきかないのです。
こうした人々を一般には心の病と診断しがちですが、むしろある程度の許容力を備えた当り前の心の世界を支えることができなくなったゆがんだひ弱な身体こそが一番の原因なのです。彼らの身体は、自分でも氣がつかないうちにガマン・辛抱がきかないゆがんだ形になってしまっているのです。

そんな風に心と身体が病んだ時代に、大震災が起きました。少し乱暴な話のようですが、これで被災地の子供や若者たちは、この逆境を生き抜くために強靭な身体を取り戻すでしょう。しかし、都会の多くの人々、つまり、今回の大震災を本当に自分自身の危機として実感できない頭人間たちは、まだ当分自分たちの虚弱な身体を回復できないでいるでしょう。今回の東日本大震災のような人類史に残る大異変が起った後、世の中は二種類の人間に峻別されます。価値観や生き方が大きく変わらざるを得ないことを直観し、新しい時代を築いていく人と、古い体制と自分に固執してほとんど変れずに時代に取り残されていく人です。はっきりいえば、こうした時に自分を変えられない人間は永久に変れない人、永久に進化できない人だといえましょう。

では、こうした時代に落ちこぼれないようにするにはどうしたらいいのか。

身体を変え、生活を少しだけ変えることです。もっと具体的にいいましょう。坐禅身法を始めることです。

どんな人でも短期間(早ければ3ヶ月から半年)で自分を確実に変えることが可能になります。ところが、シャカが創案した坐禅を現代人が体得しようとする時、いくつかの問題があります。

まず第一に、伝統的な日本のお寺で行われている達磨さんに始まり中国から日本に伝わった坐禅の仕方では、ヨーガ的な身体技法が不十分なので、シャカが体現したような身体の境地を短期間で実現することがほとんどむずかしいということです。身体のあり様が非常に異なる現代人が、2500年前のシャカの坐禅を行うには、いくつかの準備段階が必要になります。まず一番重要なのが姿勢の矯正です。特に腰や肩に弱点を持つ現代人は、腰(腰椎の三番、四番、五番)の矯正と胸・肩・首(胸部、肩関節-肩甲骨、頚椎一番、二番、六番、七番)の矯正が必須になります。また、ある程度のレヴェルの呼吸法を習ってからでないと、シャカの示す垂直性の境地(天と地が自分の身体を通してつながる)を実現することはとても無理なのです。